「子どもが急に『トゥントゥントゥンサフール』って言い始めたけど何なの?」「TikTokで流れてきたけど意味がわからない」
2025年春から夏にかけて、保育園・幼稚園・小学校の子どもたちが呪文のように唱え始め、親たちを困惑させた謎のフレーズ「トゥントゥントゥンサフール」。実はこれ、インドネシアの宗教文化を背景に持つAI生成ミームキャラクターの名前です。この記事でその正体を丁寧に解説します。
この記事でわかること:
- 「トゥントゥントゥン」と「サフール」それぞれの意味
- インドネシアのラマダン文化との関係
- キャラクターの外見と設定
- TikTokで世界的に流行した理由
- イタリアンブレインロットとの関係と注意点
トゥントゥントゥンサフールとは?基本情報を解説

Tung Tung Tung Sahurの読み方と表記
「トゥントゥントゥンサフール」の英語表記は「Tung Tung Tung Sahur」です。日本語では「トゥントゥントゥンサフール」のほか、「トゥントゥントゥンサーフール」「トントントンサフール」など様々な表記が見られます。正確な発音は「Tung Tung Tung Sahur(タン・タン・タン・サフール)」に近く、「トゥントゥントゥン」という部分が太鼓の音の擬音になっています。
TikTokで広まった海外発ネットミーム
「トゥントゥントゥンサフール(Tung Tung Tung Sahur)」は、擬人化された木製の生き物が野球のバットを持ち、インドネシア語のナレーションが添えられている、ブレインロットスタイルのAI動画およびミームのシリーズです。
2025年2月28日、@noxaashtさんがTikTokに投稿した動画が元ネタとされています。この動画は1か月間で3,100万回以上の再生回数と240万件以上のいいねを獲得しました。
AI生成風キャラクターとして知られる理由
AIで生成されたキャラクターとともに、インドネシア語のナレーションが流れ、「トゥントゥントゥントゥン・サフール。サフールの時にだけ現れる恐ろしい怪物。サフールを3回呼んでも返事がないと、この生き物が家にやってくると言われています。とても怖いです。トゥントゥンはたいていゴングのような音を出します。サフールを食べるのが苦手な友達に教えてあげてください。」という内容です。
AI生成技術で作られた木製クリーチャーのビジュアルと、AI音声合成(TTS)を組み合わせた動画スタイルが、イタリアンブレインロット系ミームの典型的な形式として浸透しています。
イタリアンブレインロット系ミームとの関係
インドネシアのラマダン(断食月)で、夜明け前の食事「サフール」の時間を告げる太鼓の音をモチーフにしたキャラクターです。AIで作られた動画がTikTokで流行し、世界的なミームとなりました。初期に流行したこのジャンルのキャラクター(トララレロ・トラララなど)の名前がイタリア語風だったため、トゥントゥントゥンサフール自体はインドネシア由来ですが、同じ「AIで作られた奇妙なキャラ」のカテゴリとして一緒に扱われています。
トゥントゥントゥンサフールの意味と由来

「Tung Tung Tung」が表す太鼓の音
トゥントゥントゥンサフールの「トゥントゥントゥン」は太鼓の音を表しています。
インドネシアでは、竹や木をくり抜いて作った「Kentongan(ケントガン)」や、牛の皮を張った大きな太鼓「Bedug(ベドゥグ)」がモスクや集会所に置かれています。ラマダンの期間中、若者たちがグループを作って町内を練り歩き、これらの楽器を「トゥントゥントゥン」とリズミカルに叩きながら、「サフール! サフール!」と大声で呼びかけて回ります。
「Sahur」が意味するラマダン中の食事
「サフール」はラマダン中の夜明け前に食べる朝ごはんのようなものです。イスラム教徒には、ラマダンという約1か月間断食(サウム)を行う月があります。サウムは、夜明けから日没までの間に食事・水を取らないため、サフールはとても大切な食事なのです。
日の出ている間は一切の飲食を断つラマダンにおいて、日の出前に十分な栄養を摂るためのサフールは、ラマダンを乗り越えるための重要な食事です。だからこそ「起こしに来る」という設定がキャラクターに生まれました。
サフールを知らせる呼びかけとの関係
つまり、「トゥントゥントゥンサフール」というフレーズ全体では、「(太鼓をドンドンドンと鳴らして)さあ、夜明け前の食事の時間ですよ!起きてください!」という、目覚ましの呼びかけを意味しているのです。
つまり、トゥントゥントゥンサフールはラマダン月の夜明け前の大切な食事、サフールを忘れた人を起こしに来るモンスターなんです。意味が分かると、なぜバットを持っているかがわかりますね。
インドネシアなどの文化背景とのつながり
インドネシアのラマダンの風物詩であり、地域の人々の絆を感じさせる温かい伝統行事です。あの奇妙なキャラクターの「うるさいくらいに呼びかけてくる」行動は、実は「みんなが寝過ごさないように」という、地域の人々の優しさと責任感から生まれた行動を極端にデフォルメしたものだったのです。
「日本の火の用心の夜回り」「除夜の鐘で時間を告げること」に通じる習慣の、インドネシア版がこの太鼓の呼びかけです。文化的背景を知ると、キャラクターの行動設定がユーモラスに理解できます。
トゥントゥントゥンサフールのキャラクター特徴

不気味でシュールなAI生成風ビジュアル
AI生成キャラクター:木製モンスター風のデザインで、不気味ながらも愛嬌がある表情が話題に。バットを振る動作:一定のリズムでバットを振るシンプルなアニメーションが特徴。コミカルなナレーション:インドネシア語によるTTS(読み上げ音声)で、独特の言語リズムが中毒性を生む。
長い手足を持つ木製人型キャラクターとしての印象
特徴は長めの皮が剥がれた丸太に目と口、手足が付いた木製のバットを持ったキャラクターです。
キャラクターの体が木のような質感をしている理由も、この由来を知ると納得がいきます。彼がモチーフにしているのは、合図に使われる木製のスリットドラム(Kentongan)そのものが擬人化された姿だからです。木製の太鼓が人の形になったというデザイン設定が、キャラクターとしての一貫性を生んでいます。
棒やバットを持つ怪異のような描写
野球のバットを持った木製クリーチャーという設定は、「太鼓を叩いて起こしに来る存在」という文化的背景と合致しています。不気味に笑いながらバットを振り回す様子が、ホラーとコメディの両面を持つキャラクター性を生み出しています。
ハンガリーのオルバーン・ヴィクトル首相はTikTokに、政府会議で踊っているトゥントゥントゥンサフールの動画を公開した。各国の著名人がミームに乗っかるほど、世界的な認知度を持ったキャラクターとなっています。
夜明け前に現れる存在として語られる理由
「トゥントゥントゥントゥン・サフール。サフールの時にだけ現れる恐ろしい怪物。サフールを3回呼んでも返事がないと、この生き物が家にやってくると言われています。」
夜明け前(午前3〜4時頃)に現れて「起きなさい」と呼びかけてくるというホラー的な設定は、実際のラマダン文化における「寝過ごした人を太鼓の音で起こす」という伝統をデフォルメしたものです。
TikTokで流行した理由

短く覚えやすいフレーズの中毒性
「トゥントゥントゥン・サフール!」というフレーズは、一度聞いたら頭から離れない中毒性を持っています。繰り返しの音節・強いリズム・「サフール!」という締めのアクセントが組み合わさり、子どもから大人まで思わず口ずさんでしまう構造になっています。
2025年5月頃から、SNSを中心に「子どもが謎の呪文を唱えている」「子どもが急にイタリア語をしゃべるようになった」という投稿が増えています。「息子がカープチーノ!アサシーノ!トゥントゥントゥンサフールって、ずーっと言ってんだけど」という保護者の投稿が大量に共有されたのがその証拠です。
ショート動画との相性の良さ
編集アプリ「CapCut」などで、TTS(テキスト読み上げ)+自動字幕のテンプレートが提供されたことで、誰でも短時間で動画をリミックスできる仕組みが整備されました。結果、数千本のリミックス動画が24時間以内に投稿され、ハッシュタグ再生数は4,000万回を突破しました。
AI音声や合成音声による独特な雰囲気
特定の声優はいません。AI音声合成サービス「ElevenLabs」の「Adam(アダム)」というモデルの声を使用しています。人間の声でも無機質でもない、AI音声特有の「微妙にロボットっぽい」発音が、キャラクターの不気味さとシュールさを強調しています。
不条理なストーリーや派生動画が作りやすい点
「トゥントゥントゥンサフール」が野球のバットを振り回して逃げ回り、爆発する動画を投稿し、1週間で530万回以上の再生回数と30万件以上のいいねを獲得しました。「バット持ちのキャラが不条理な状況で暴れる」という誰でも理解できるシンプルなシュールさが、様々な二次創作動画を生みやすい構造です。
こちらのトゥントゥントゥンサフール解説ページでも詳細な情報を確認できます。
イタリアンブレインロットとの関係

Italian brainrotとは何か
イタリアンブレインロットとは、AIで作られた奇妙なキャラクターにイタリア語風の名前をつけて楽しむナンセンスミームです。「くだらなすぎるのに中毒になるコンテンツ」を指すネットスラング「ブレインロット(脳腐れ)」に「イタリアン」がくっついたのがこの流行です。AIで作られた奇妙なキャラクターに、イタリア語っぽい名前をつけて紹介する動画がどんどん広まりました。
AI生成風キャラクターが次々に拡散する仕組み
イタリアンブレインロットの特徴は「誰でも新しいキャラクターを作れる」開かれた構造にあります。AI画像生成ツールとTTS音声があれば、同じ文法で新しいキャラクターを無限に量産できるため、ミームが自己増殖する仕組みになっています。トゥントゥントゥンサフール以降、様々な「サフール系キャラクター」が派生して生まれています。
意味不明な名前や音声が人気になる理由
ポーランド・ラジオは、このミームがアルファ世代の間で人気があるのは「愚かで、面白くて、中毒性があるから」と指摘している。意味がわからないからこそ「なに?これ?」と誰かに教えたくなるという共有欲が拡散力の源泉です。
海外ミーム文化における位置づけ
イタリアンブレインロットはもともとイタリア語風の音声・名前が特徴でしたが、トゥントゥントゥンサフールはインドネシア語由来です。この「非イタリア語なのにイタリアンブレインロットカテゴリに含まれる」という逆説が、このミームがいかに「様式」として定着しているかを示しています。
関連ミーム・関連キャラクター
Tralalero Tralalaとの関係
トララレロ・トラララはイタリアンブレインロット全体の「元祖」として位置づけられるキャラクターです(ナイキのスニーカーを履いたサメ)。トゥントゥントゥンサフールはそのムーブメントに乗る形でインドネシアから参入し、二つのキャラクターが対決・共演する動画が大量に作られることで互いの人気を高め合いました。
Bombardiro Crocodiloとの関係
ワニの頭を持つ巨大な爆撃機「ボンバルディーロ・クロコディロ」は「トラレロ・トラララ」との宿命のライバル関係がミーム内で語られることもあり、その奮闘活劇動画も数多く投稿されています。トゥントゥントゥンサフールもボンバルディーロとの共演・対決動画が多く、イタリアンブレインロットワールドの住人として互いに絡み合っています。
Ballerina Cappuccinaとの関係
カプチーノを頭に乗せたバレリーナ「バレリーナ・カプチーナ」は、子どもたちの間では「トゥントゥントゥンサフール」と並んで口ずさまれる人気キャラクターです。「カープチーノ!アサシーノ!トゥントゥントゥンサフール!」という連呼がSNSでよく見られ、いくつかのキャラクターがセットで覚えられる傾向があります。
Italian brainrot系キャラクター図鑑としての楽しみ方
イタリアンブレインロットの世界はキャラクターの数が膨大で、それぞれのキャラクターの外見・能力・設定・他キャラクターとの関係性を「図鑑」のように把握する楽しみ方が広まっています。KADOKAWAから書籍『イタリアンブレインロット図鑑』も刊行されており、子どもから大人まで楽しめるコンテンツとして確立されています。 詳細はこちらのトゥントゥントゥンサフール解説記事でも確認できます。
RYOblogではイタリアンブレインロット関連ミームのほかにも、ネットカルチャーやアニメ・ゲームの解説記事を多数公開しています。
トゥントゥントゥンサフールを紹介するときの注意点
ラマダンやサフールという宗教文化への配慮
注意:「サフール」はイスラム教の断食月ラマダンにおける夜明け前の食事を指す、信仰と結びついた文化的概念です。ミームとして楽しむ際にも、その文化的・宗教的背景への敬意は忘れないようにしましょう。
トゥントゥントゥンサフールも、本来の文脈から切り離れたキャラクター像に対し、「神聖なものを勝手に使わないでほしい」との声が上がっています。インドネシアのムスリムコミュニティから、ラマダンの習慣をエンターテインメント化することへの懸念が表明されているケースがあります。
元ネタを単なるネタとして扱いすぎないこと
「トゥントゥントゥンサフール」の背景にある太鼓の呼びかけは、ラマダン中に地域の仲間を気にかけて起こしに回る、温かい共同体文化の表れです。「不気味で面白いミームキャラ」として消費するだけでなく、その文化的な意味を少しでも知った上で楽しむことが、健全なミーム文化への参加につながります。
子ども向け・一般向けに説明する際の表現
実際に「サフールって何?」「危ない言葉じゃない?」と心配になる方もいますが、安心してください。これは子どもたちの間で人気になっているAIキャラクターの名前なんです。
子どもたちの場合は「インドネシアという国の伝統的な文化(ラマダン中の食事を知らせる太鼓の音)がモデルになった、TikTokで流行っているAIキャラクターの名前だよ」という説明が理解しやすいでしょう。
派生動画に含まれる不適切表現への注意
イタリアン・ブレイン・ロットは、音声や映像にしばしばイスラム教を蔑視する内容を含むことで一部から批判を受けています。トゥントゥントゥンサフールそのものの元ネタ動画は問題ありませんが、派生動画の中には宗教的に不適切な内容が含まれるものもあります。子どもが視聴する場合は、保護者が事前に内容を確認することをおすすめします。
トゥントゥントゥンサフールに関するよくある質問
トゥントゥントゥンサフールとは何?
トゥントゥントゥンサフールは、インドネシアのラマダン(断食月)で、夜明け前の食事(サフール)の時間を告げる太鼓の音をモチーフにしたAI生成ミームキャラクターです。野球のバットを持った木製の擬人化されたクリーチャーとして描かれ、「サフールの時間に3回呼んでも返事がないと家にやってくる」という設定を持ちます。2025年2月28日にTikTokに投稿された動画が元ネタで、世界中に拡散しました。
Tung Tung Tung Sahurの意味は?
「トゥントゥントゥン」というのは、太鼓をドンドンドンと叩く音を表した擬音。「サフール」はラマダン期間中は日が昇る前に食事をとる習慣があり、その食事のことです。つまり直訳すると、「ドンドンドン!サフールの時間だよー!」という、ちょっとコミカルな掛け声です。
なぜTikTokで流行した?
主に3つの理由が重なったためです。①「トゥントゥントゥン・サフール!」という短くリズミカルで覚えやすいフレーズ、②AI生成のシュールなビジュアルと音声による強烈な第一印象、③CapCutなどの編集ツールを使った誰でも作れるリミックス動画の量産という仕組みです。公開1週間で1,000万再生を突破し、その後も拡散が続きました。
イタリアンブレインロットと関係ある?
密接に関係しています。初期に流行したこのジャンルのキャラクター(トラレロ・トラララなど)の名前がイタリア語風だったため、トゥントゥントゥンサフール自体はインドネシア由来ですが、同じ「AIで作られた奇妙なキャラ」のカテゴリとして一緒に扱われています。日本でも「イタリアンブレインロット図鑑」の中でトゥントゥントゥンサフールが代表的なキャラクターとして紹介されています。
サフールとはどんな意味?
「サフール」はラマダン中の夜明け前に食べる食事のことです。イスラム教徒のラマダン期間は夜明けから日没まで断食を行うため、サフールはその日を乗り切るための重要な食事です。日本語に訳すなら「夜明け前の食事」または「断食前の早朝食」にあたります。インドネシアでは地域の人々が太鼓を叩いてサフールの時間を知らせる風習があり、それがこのキャラクターのモチーフになっています。
まとめ|トゥントゥントゥンサフールは文化的背景を持つ海外発ミーム
意味・由来・キャラクター特徴の振り返り
- 「トゥントゥントゥン」=インドネシアの木製太鼓(ケントガン・ベドゥグ)を叩く音の擬音語
- 「サフール」=イスラム教のラマダン月における夜明け前の食事
- 元ネタは2025年2月28日に@noxaashtがTikTokに投稿した動画。1か月で3,100万回再生
- 外見は皮が剥がれた丸太のような木製クリーチャーに目・口・手足が付き、野球バットを持つ
- 「サフールを3回呼んでも返事がないと家にやってくる」というホラー設定
TikTokで広まった理由と関連ミーム
- リズミカルで覚えやすいフレーズの中毒性がショート動画のバズを生んだ
- CapCutなどのテンプレートで誰でも派生動画を作れる環境が拡散を加速した
- イタリアンブレインロット(Tralalero Tralala・Bombardiro Crocodiloなど)の仲間として世界的な人気に合流した
- ハンガリーの首相がTikTokに関連動画を投稿するなど、世界規模の現象となった
文化的背景に配慮して楽しむことが大切
- 「サフール」はイスラム教のラマダン文化に根ざした大切な概念。ミームとして楽しむ際も背景への敬意を忘れない
- 派生動画には宗教的に不適切な内容が含まれるものもあるため、子どもが視聴する際は保護者が確認する
- 「意味不明で面白い」という楽しみ方と同時に、インドネシアの人々の温かい共同体文化が元にあることを知ると、より深く楽しめる
※本記事の情報はKnow Your MemeおよびWikipediaの情報をもとに構成しています。ミーム文化は急速に変化するため、最新情報は各公式サイトやSNSでご確認ください。

